今回の記事では、片づけに関するマインドセット(心構え)について紹介します。ちょっと普段より自己啓発めいた話の展開ではありますが、これまでのお客様を見ていてこのマインドセットが変わっていく方はどんどん片付けが進みますが、変わらない方は行動も変わらないということを目の当たりにしてきたことから、まとめてみました。ちなみに今日は片づけに関することを書いていますが、自分に対してあなたがどんな前提を持っているかは、片づけ以外でも共通するのではないかと思いますので、片づけが得意な方は他の事柄に変換して読んでみてください。
前提を変えることで「片付けが苦手」を克服しよう
これまでの生活や経験から「私は片付けが苦手だ」と思っているかもしれません。実際、片づけを試みてもすぐに散らかってしまったり、どこから手をつけて良いかわからないまま時間が過ぎてしまうこともあるでしょう。でも、その「自分は片づけができない」という考えは、過去の経験から生まれた「思い込み」「前提」に過ぎません。そして、その前提を変えることで、あなたの片づけに対する捉え方や結果が大きく変わるのです。
同じように片づけが苦手な人の中には「物を捨てられない」と悩んでいる方も多くいます。特に生きている時間が長いと長い程これまでに集めてきた物が増え、家の中が物であふれてしまい「片づけなきゃ」と思いつつも、どうしても捨てられない物がたくさんあるという状態に悩んでいるかもしれません。
しかし、これもまた「捨てられない自分」という思い込みを自分で強く持っていることが原因の1つでもあり、その前提を変えることで、物を手放すことが楽になり、心地よい空間を取り戻すことができるのです。(ちなみに、精神疾患によって溜めこんでいる場合は別です)
「捨てられない」という前提が現実を作っている
私たちは、無意識のうちに「自分は片づけが苦手だ」「整理整頓ができない」という前提を持ち、それが実際の行動や結果に影響を与えています。
たとえば、「片づけてもどうせすぐ散らかる」という思い込みがあると、片づけに取り組んでもモチベーションが続かず、結局また散らかってしまうという結果を招きがちです。
物を管理できないくらい持っている場合も、日常生活で「これはいつか使うかもしれない」「捨てたら後悔するかもしれない」といった思い込みを持ち、それが物を捨てられない原因になっています。
このような前提があると、結果として物がどんどん増えてしまい、家の中が整理できない状態になってしまいます。実際に、物を手放すのが難しいのは、物自体の問題ではなく、「捨てたくない」「捨てられない」という前提が根本的な理由なのです。
こういった前提、自分に対する思い込みがある限り、現実もその前提に従って形作られてしまいます。家の中の状況はあなたのこれまでの行動の結果だからです。「私は片付けが苦手だから、散らかっていて当然」「私は捨てられないから物があふれていて当然」。これは状況に対してあなたが無意識に許可していることなのです。
でも。
もしその前提を変えることができれば、あなたはもっと自由に、そして簡単に物を手放すことができるようになります。片づけに対する意識や行動が変わり、結果も変わっていくのです。
「片付けができる自分」に前提を変えていく
何かあるたびに「私は片付けが苦手だから」とか「片付けができないから」と自分に言い聞かせていませんか。自分に「片付けができないラベル」を貼るたびに、自己評価はどんどん下がります。
そこで、まずは少しずつ「自分は片づけができる」と思い込むこと、つまり「自分は片づけが得意だ」とか「片付けが好きだ」という前提を、意識的に選び直すことが大切です。最初は難しく感じるかもしれませんが、前提を意識して変えることで、少しずつ自分の行動が変わり、片づけの成功体験が増えていくでしょう。
「私は物を捨てられない」という前提から、「私は必要な物を選び、心地よい空間を作ることができる」という前提に変えることで、物を手放す行動がしやすくなります。
たとえば、昔の服や使っていない道具を手放す際に、「これを手放すことで、新しいものやより大切なもののためのスペースができる」という考え方を持つと、手放すことが苦ではなくなります。「自分は捨てられない」が前提にあると、行動も必ず「捨てられない」になります。そこで、「自分は物を手放す力がある」という前提を意識的に持つことで、片づけが楽になり、心の負担が軽くなっていきます。
このような意識の変化は、少しずつ習慣化していくことで、次第に「捨てられない自分」という思い込みが薄れていきます。
片付けが苦手な前提を変えるための3つのステップ
1. 思い込みに気づく
まず、自分がどんな前提を持っているのかを見つめ直してみましょう。
たとえば、「私は片づけができない」「整理整頓が苦手だ」「物を捨てられない」といった思い込みがないか、紙やノートに書き出してみることが効果的です。自分が無意識に抱えている思い込みを明らかにすることが、変化の第一歩です。
まずは自分が思っていることに気づき、その思い込みをはっきりさせましょう。たとえば、「これを捨てたら後悔するかもしれない」「もったいない」と感じることが多い場合、それが物を手放すことを阻んでいる前提です。その前提を意識して認識することが第一歩です。
2. なぜその前提があるのか考える
次に、その前提がどこから来たのか、なぜ存在するのかを考えます。
たとえば、子どもの頃に家族から「片づけが下手」、「片付けられないんだから」、「だらしがない」などと言われ続けた経験があるかもしれません。あるいは、忙しい生活の中で、片づけを後回しにしてしまい、それが習慣化してしまったのかもしれません。その思い込みが過去にどうやって形成されたのかを理解することで、今その前提が本当に必要かどうかを見直すことができます。
ちなみに、子どもの頃に親から言われた「片づけが下手」「だらしがない」は、その時代の親の価値観に基づくジャッジであることが多いです。
今のように、片付けにおいても「人それぞれやりやすさが違う」という概念すら存在していない時代です。通常、きれい好きな大人より子供の方が片付けられないのは当たり前です。さらに、親が言う「片付けが下手」「だらしがない」は「親のやり方と違う」を指します。そこで、丁寧に片づけの考え方、取り組み方を教わった方はいますか?きっといないと思います。ただ他人にジャッジされた言葉が、あなたの中で前提になっていて、今の行動を妨げているのです。
物が捨てられないケースであれば、過去に物を捨てて後悔した経験や、「物を大切にしなければならない」と育てられた環境が、物を捨てられない原因になっているかもしれません。このような前提が過去に役立ったことがあっても、今の自分にとっては必要ではない場合が多いです。
3. 感謝して手放す
最後に、不要な前提に感謝し、それを手放します。こういった前提は、自分を守るために過去必要であったことが多いです。たとえば、「片づけが苦手」を前提にしておけば、他人から片づけについて何かを言われてもすでに心の準備ができています。人に指摘される前に自分から伝えることもできるかもしれません。このように、その前提は自分を守るために、過去には必要だったかもしれません。
でももし今、あなたが片付けを進めたいと思っているのなら、今のあなたにはその前提は必要ないのです。それに気づくことができたら、「ありがとう、でももう大丈夫」と心の中で伝え、その思い込みを手放しましょう。その物に対して感謝し、手放すことが大切です。なぜ感謝が必要かというと、「自分はもう片づけが苦手ではない!」とか「自分が片付けられないと思うのをやめる!」などと自分の考えを否定しながら手放すことはなかなか難しいからです。
物の場合も「ありがとう、役に立ってくれて、でももう今の私には必要ないね」(このフレーズは、自分にしっくりくる内容に変更してください)と感謝の気持ちを持ちながら物を手放すことで、捨てることが前向きな行動に変わります。このプロセスを通じて、「物を手放すことは、新しい空間と余裕を手に入れること」と前提を変えていくのです。
前提を変えると片付けも変わる、物を手放すことができると、生活が変わる
前提を変えることで、片づけに対する意識や行動が大きく変わります。たとえば、「私は片づけが得意だ」「片付けが好きだ」という前提を持って行動すると、小さな片付けの成功体験が積み重なり、自信がついてきます。
逆に、「私は片づけができない」という前提を持っていると、その前提通りに片づけが進まず、いつまでも苦手意識を抱えたままになってしまいます。
前提を変えることで、物を捨てられないという悩みも解消されていきます。たとえば、「私は自分に必要な物だけを残し、余計なものは手放す力がある」という前提を持つと、物を手放す際に気持ちが軽くなり、捨てることがストレスではなくなります。結果として、家の中はすっきりし、心地よい空間が広がっていきます。
その一方で、「物を捨てられない」「捨てたら後悔する」という前提を持ち続けると、家は物であふれ、心も整理されないままになってしまいます。ですから、「物を手放すことは新しい可能性を開くためのステップだ」と前提をシフトし、少しずつ物を減らしていくことが重要です。
実践例:思い出の物を手放す
たとえば、古いアルバムや昔の思い出の品がたくさんある場合、「捨てられない」「思い出の品は、もう二度と手に入らないから捨てたら後悔する」が前提になっていると、生きている年数だけ物はどんどん増えていってしまいます。すべてを取っておくことは、必ずしも必要ではありません。
ここで大切なのは、「物を捨てることは管理的な行為であり、物をあきらめることは感情的な行為である」という視点です。これはアメリカのICDの設立者であるジュディス・コールバーグさんが提唱している概念です。物を手放すことは、ただ物理的に片づけるという行為だけでなく、感情的な決断を伴うものでもあります。
たとえば、過去の思い出が詰まった物を前にして「これは本当に必要なのか?」と自問するとき、ただ単に「理論的にもう使わないから捨てよう」と考えてしまうと、感情的な抵抗感が残り、物を手放すことが難しく感じるかもしれません。思い出の物は、その物自体に感情が強く結びついていることが多いからです。
そこで、物を手放す際には感情面でも安心できるように工夫することが重要です。たとえば、「この物は私の人生の大切な時期を支えてくれたものだけど、今はその時期を十分に乗り越え、次のステージに進む準備ができている」と心の中で自分に語りかけることが効果的です。
他には、その思い出の中から中心的な存在のものをいくつか選び、それらをいつでも目につく場所に飾ります。それを見るたびに、その物とつながる他の思い出もよみがえらせることができることで、安心感を得られるのです。感謝の気持ちを持って物を見送り、物がなくてもその思い出や価値が自分の中に残っていることを確認することで、心が安定し、安心して手放せるようになります。
物を手放すことは、感情的な側面も含めて自分自身が納得していくプロセスです。理論、理屈だけで捨てようとするのではなく、感情的に安心して「この物がなくても私は大丈夫だ」と思えるようになり、それが自分の前提になっていけば、不要な物を手放すことがさらに楽になります。感情と理性のバランスを取りながら、少しずつ自分にとって本当に大切な物を選び、他の物には感謝して手放していきましょう。
このように、物を整理し管理することは理論的な行為ですが、物をあきらめることには感情的な部分が大きく関わっています。だからこそ、物を手放すときには、自分の感情も大切にし、感情的に安心した状態で進めることが、片づけの成功の鍵となります。
片付けの前提を変える。まとめ
この記事では、片づけに対するマインドセット、つまり心の持ち方や前提を変えることで、片づけの苦手意識や「物を捨てられない」という状態から変化していけることをお伝えしました。私たちが持っている「自分は片づけができない」という思い込みが、実際の行動や結果に大きく影響を与えています。
しかし、この前提を「自分は片づけができる」「物を手放す力がある」というポジティブなものにシフトすることで、片づけがだんだんとスムーズに進み、生活全体を整った心地よいものに変えていくことができます。
また、物を捨てる行為は、単なる管理的な作業ではなく、感情的な決断も伴うことを理解し、感情面でも安心して手放すプロセスが重要です。感謝の気持ちを持ちながら物を見送り、前提を変えることで、片づけをもっと楽に、そしてポジティブな経験に変えていきましょう。
いつだって、私たちは変わっていくことができます。