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自分の「感じ方」を知ることから始める、心地よい暮らしづくり


感覚は暮らしの選択に深く関わっている

人が物を選んだり、行動しやすさを判断したりするとき、一般的には「価値観」や「これまでの経験から生まれた習慣」が土台になると考えられています。たとえば、「このブランドなら安心」「こういうデザインが自分のスタイルだ」「自分は機能的なものを好む」といった価値基準は、長年培われた思考パターンや過去の成功体験、失敗体験によって形成されている、と言われます。

 

 

しかし、その価値観や習慣が形作られる背景には、実は背後には自分自身が感じる「心地よさ」や「違和感」といった「感覚」が深く関わっていることを見落とさないように注意してみてください。

 

 

 

たとえば、物や家具を選ぶ時に「木製」を好む方がいるとします。木製の製品の価値を「温かみがあって落ち着く」と捉えている場合、木のやわらかな色合いや触れたときの感触が、幼いころから慣れ親しんだ自然の風景や、お気に入りだった実家のテーブルを思い起こさせるなど、心地よい記憶や安心感につながっているからかもしれません。

 

 

逆に、明確に言語化された記憶には残っていないけれど小さい頃から金属製の物が触れるカチャっとした音が苦手、反射する光がまぶしすぎて不快感を感じた経験がある、触った時のひんやり感が怖い…だから木製の製品を好むようになって「温かみがあって落ち着く」という価値観につながったかもしれません。

 

 

 

こうした「感じ方」の違いは、私たちが普段、当然のように使っている物や行動にまで影響を及ぼします。

 

 

同じシャツでも、デザインや手入れ方法などが自分に合っているかで選ぶ人もいますよね。でもある人は肌触りを優先し、別の人は色合い、タグの位置や縫い目、匂いの有無など、感覚からくる「気持ちよさ」「落ち着き」「安心感」で選び方が変わります。私たちは知らず知らずのうちに、自分の感覚特性とマッチした環境や物事を求めて行動しており、それらの積み重ねが自分なりの価値観となって定着していくのです。

 

 

人が物を選んだり、行動しやすさを判断するとき、その背後には自分自身が感じる「心地よさ」や「違和感」といった感覚が密接に関わっています。そして、その感覚は必ずしも他の人々と共有されているわけではありません。

 

 

私たちは自分の感覚を基準に世界を理解しがちですが、「当然」「普通」と思うことが必ずしも他者にとっては同じとは限らないのです。

 

 

たとえば、妊娠経験がある方であれば、つわりによって嗅覚・味覚が過敏になった経験を思い出してみてください。いつもなら何ともない香りが突然不快になり、吐き気を催すことすらあります。このように、ある人にとっての日常的で穏やかな感覚が、別の人には強烈な刺激になり得ますし、つわりの場合は一過性ではありますがこのような感覚特性の変化が日常の選択や価値観を大きく揺るがすことがわかりやすいのではないでしょうか。

 

 

こうした感覚の違いは、決して特定の人だけに当てはまる特殊な話ではありません。誰にでも起こり得る変化であり、私たち全員が、日々の中で感覚特性に導かれながら選択や行動を重ね、価値観を形成しているのです。

 

 

 

「当たり前」は人それぞれ――感覚特性の多様性

ここで改めて理解しておきたいのは、感覚特性の違いは、発達障害など特定の背景を持つ人だけに見られるものではない、ということです。

 

 

これは生まれつき持ったものなので自分にとっては当たり前のもので、ある程度成長して他者についての知識も得ることではじめて「自分のこの感覚はユニークなものなんだ」とか、「多くの人は何ともないというんだ」、逆に「多くの人はこれに気付くんだ」というように特定の感覚についての理解ができるようになります。

 

 

また、発達段階や加齢、生活習慣や体調の変化、環境適応度合いなど、さまざまな要因によって感覚に対する反応は変化します。「少し苦手」程度で我慢できる場合でも、好ましくない感覚は日常的な小さなストレスの積み重ねになり、暮らしやすさを損なう要因になり得ます。




わずかな不快感や違和感が積み重なれば、それは小さなストレスとなり、暮らしやすさを損ないます。多くの場合、それは「気にしすぎ」と一蹴されたり、「片づけ下手」「不器用」と自分を責めてしまったりしがちですが、実際には感覚特性のミスマッチが根底にあることも少なくありません。

 

 

専門的には「低登録(感覚鈍麻)」「感覚探求」「感覚回避」「感覚過敏」といった特性に分類されることがあります。



たとえば、冷蔵庫の微かなモーター音が気になって落ち着かない方がいる一方で、気づきにくい人もいます。耳掃除や歯磨き、髪を洗うといった行為そのものが強い不快感を引き起こす人もいれば、全く気にせず暮らせる人もいます。また、遊園地のジェットコースターを「まだまだ乗りたい」と感じる方もいれば、「一度で充分(もう今後一生乗らない)」となる方もいる。




このような違いは、単に感覚が「強い」か「弱い」かという一方向的なものではなく、聴覚、嗅覚、触覚、味覚、視覚など五感全般、さらには身体感覚全般で微妙な感覚の違いが入り交じっていることが多いのです。

 

 

 

小さな不快感が日常ストレスを積み重ねる

これらの違いは、暮らしの中でさまざまなかたちで表れます。たとえば、

 

  • 衣類選び:特定の素材感や縫い目、タグの感触が不快で、限られた服しか着たくない。
  • 生活音への不快感:ドアの開閉音、水道の水滴音、冷蔵庫や換気扇の低い駆動音、特定の素材が触れる音(金属音)などが気になり、リラックスできない。外の音がうるさくて耐えられないため、窓を開けた空気の入れ替えができない。
  • 片づけ方の偏り:手触りが苦手な素材の箱や袋には触りたくない、苦手な音が出る物にも触りたくないため、片づけに支障が出る。
  • 清掃やケア行為の回避:歯磨きやシャンプーが苦痛で、どうしても後回しになり、その結果清潔感の維持が難しくなる。
  • インテリア選び:肌に触れるカーペットの毛足や、家具の角ばった感触が気になり、特定のモノしか置きたくない。



これらは生きづらさや片づけのしづらさを招く一因となりますが、自分でもこういった感覚を持っていることに気が付いていないと「自分は片づけベタ」「根本的にズボラ」などとレッテルを貼って自己評価を下げてしまう引き金になることもあります。

 

 

しかし実際には、「ただその空間や道具が、その人の感覚に合っていない」という可能性があります。暮らしにおける「心地よさ」は、必ずしも家事スキルややる気だけで決まるわけではなく、感覚特性と物や環境のミスマッチがストレスの元凶になっていることがあるのです。

 

 


そしてこういった感覚の過敏さをもっていない人からしたら「大げさな」とか「言い訳していないでやりなさい」というようなジャッジになりがちですが、相手にとっては本当に苦痛な感覚かもしれません。

 

 

また世の中の半数くらいがわかりそうな例としては、歯の知覚過敏の人やアイスを食べたら頭が痛くなる人に「大げさ!全然平気だからもっとたくさん早く食べて!!」と言うようなものだったり、辛い物がまったく食べられない人に激辛な食べ物を食べさせるようなことと一緒なのかな、とも思います。

 

 

 

 

自分の感覚を理解し、「心地よさ」を再発見する

ライフオーガナイザーとして、クライアントの方が整理、収納、整頓、片づけのどこにハードルを抱えているか、何をしたらもっと楽にできるようになるかを考え、一緒に楽にできる暮らしの仕組みを作ります。その際には、今ご本人が意識できているストレス、変えたいことや理想や価値観、ゴールなどももちろん伺いますが、その際には感覚特性に関する知識も含めて無理のないやり方をや行動の選び方を再検討するお手伝いをしています。

 

 

こうした背景を理解すると、単に「自分は片づけ下手だから」と諦めるのではなく、「自分はどんな感覚にストレスを感じているのか」を見直す視点が生まれます。自分にとって心地よい触り心地の収納用品を選んだり、嫌な匂いのしない清掃用品に切り替えることで、暮らしは一気にラクになるかもしれません。

 

一般的な「標準」や「当たり前」に縛られず、「自分にとって心地よい」状態とはどんな感覚なのかを知ることは、快適な日々をデザインする第一歩になると考えています。感覚の違いは決して特別なことではありません。微妙なストレスの正体を知り、生活を整えることで、誰もが自分らしい心地よい暮らしを手に入れることができるのです。価値観や習慣といった表層的な判断基準の背景にある、感覚という「土台」を見直すことで、当たり前に潜む不快感から解放され、自分らしい暮らしをはじめるきっかけになるのです。

 

 

自分はちょっと他の人と違う気がする、気にし過ぎと言われるけれど嫌なものは嫌、無理なものは無理なのに家族や他人には否定されたりして折り合いがつかない、自分でもどうしたらいいかわからなくて困っている。
様々な状態のクライアントさんと暮らしやすい生活を考えてきています。自分のことがわかり、世の中のことも知り、自分の過ごしやすい環境を選びとりやすくなると暮らしは本当に楽になります。

 

お困りの方がいらっしゃいましたら、まずはお気軽にお問合せくださいね。

 

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  • この記事を書いた人

株式会社OPT LIFE

札幌市~北海道全域 ご自宅を訪問して一緒に暮らしを見直す片づけ・整理収納サポートをしています。  ・・・  毎日探し物・忘れ物・片付けに時間に追われる、家でくつろげない、片付けてもすぐリバウンドしてしまうを解決 ・・・  片づけの先にある 「本当は、〇〇したい」を叶えるお手伝をしています。

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