先送りしないですぐに取り掛かるための方法
もくじ
1:1.仕事ができる人でも片づけが苦手な理由
2:2.物事を終わらせるための5つの手順と心がけ
①最初の一歩を小さく明確にする
②タスクを大きな目的に結びつける
③人に任せるか、シェアするかを考える
④一番いい場所に移動して環境を整える
⑤理想的な時間を自分に予約する
3:考え方の変化を促すたった1つの心がけ
4:まとめ:変化は日々の一貫した努力から生まれる
1.仕事ができる人でも片付けが苦手な理由
「〇〇ができるんだから、片づけができないはずがない!」
片付けられないご本人に対して、ご家族や近い存在の人が言ってしまいがちな言葉の1つです。
お子さんだと偏差値が高い学校に入れた、外ではいい子で評判である、推しグッズはきれいに並べられているのに.…それでも他の物はぐちゃぐちゃ。床に散らかっている…そんなケースが多いですね。
大人でいうと「先生」がつく職業や職場では管理職である、命に関わったり緊急性が伴う職場に勤務している…特にこのような肩書を持つ場合には、周囲にそう思われてしまっていることがよくあります。
私の知っている方は会社の経営者として多くの従業員を抱えて活躍されていますが、同時に「メールを返信する」という単純な行為を何日も、何週間も先延ばしにすることがあります。さらにはそのまま忘れてしまい、催促が来るまで送られないメールまで…。
こういった場面に遭遇した時に、多くの人は「一般的に考えて」という説明を好みます。
「〇〇ができる人は片付けもできる」と考えるようです。けれど、世の中にはこのような論理がまったく通用しない人もいます。「〇〇ができても片付けはできない」。これが論理うんぬんではなく、目の前にある現実です。「〇〇」と片付けに関係性はないのです。そして、困っているのは本人も同じです。
先延ばしにしている片付け、またはタスクをずっと先延ばしするわけにはいきません。やらなければならない物事は、終わるまで頭の片隅にこびりついていて、それがあるだけでもまったくスッキリしません。
今よりももっと気楽にストレスフリーで生きるためには、できるだけ早く物事をおわらせた方がいいですね。この記事では、片付けやタスクなどの物事を先延ばしせずに終わらせるための工夫を紹介しています。
2.物事を終わらせるための5つの手順
もし
- 一般的に考えて・・・
- 論理的に考えて・・・
という方法ではなかなか動けない方は物事のプロセスではなく、あなた自身がどうやれば一番うまくできるかを考えてみてください。
考え方は以下の通りです。
1.最初の一歩を小さく明確にする
具体的に最初の行動ステップを小さく明確にすることで、先延ばしにしてしまう理由の1つである「圧倒される」感覚を和らげましょう。
例えば、
- 夕飯の片づけなら、まずテーブルからシンクに皿を移動させること
- 書類の見直しなら、たまった書類にどんなものが含まれているか概要を確認すること
- 足の踏み場もない部屋の片付けなら、床の上の明らかなごみだけを拾って捨てる
これらがはじめの一歩です。
このような行動ステップの内容は人によってちがいますが、タスクを最初から最後までまとめて捉えた場合の「めんどくさそうな大きなタスク」と比較すると、圧倒されるような内容ではありませんよね。
2.タスクを大きな目的に結びつける
ToDoリストをこなさなければならない物の集まりと考えてしまうと、ますますやりたくなくなってしまいます。そのため、できる限りあなたにとってもっと大きな、もっとやる気を起こさせる「目的」に結びつけます。モチベーションが高ければ高いほど、その仕事を始めて成功させる可能性は高くなるからです。
私が片付け整理収納作業を行うクライアントのご自宅に訪問し片付けの方向性を考える際にも、必ずお客様の価値観や理想の暮らしを伺います。
1つ1つのタスクを行っていくと、どんどん価値観を満たす理想の暮らしに近づけるということをクライアント自身にも理解していただいた方が、片付けという面倒な作業に対するやる気を起こしてくれる可能性が高いからです。
例えば、片付けをすることで、床に物が落ちていることがなくなる。そうすると、私が「危ないから、そこで遊ぶのやめなさい!」とか「拾いなさい!」とか常に注意をする必要がなくなり、子供も安全に自由に遊べるようになる。私も自由な時間を得られる。
こんな感じで、目的意識をもっていくこと、そしてそれを忘れないようにすることがコツです。
もしあなたがこのような「目的」にピンと来ない場合は、より感情的な事柄に結びつけてみましょう。
あなたのワクワクすることや、大切な人との関係性に片付けやタスクを結びつけるのです。
- すごく好きで、こんな暮らしがしたいと思う人の真似をして片付けてみる
- ワクワクするインテリアに寄せるために片付ける
- 片付けてスペースを作って、前からずっとほしかった家具を買う
- 片付けることで、家族のメンバーが喜んでくれる
- 片付けた家で最近それぞれ子育て中でなかなか会えない昔からの友達に来てもらう
- 早くこのタスクを終わらせれば、後でカフェでゆっくり過ごせる
そんな感じで楽しいことと結びつけて考えます。
3.人に任せるか、シェアするかを考える
できる(あるいは、できるはずだと思っている)からといって、あなたがその仕事、そのタスクに最適な人材であるとは限りません。特に家の中のことは自分1人でどうにかしないといけないと思いがちですが、決してそうではありません。その時にぜひ自分に問いかけてみてほしいのは、
- このタスク(片付け)は、もっと専門知識のある人や楽しそうにできる人に任せることができるだろうか?自分の時間を、もっと自分のスキルに合ったことに費やしたほうがいいのではないか?自分や家族、会社に最大の価値をもたらすことに時間を使うことが望ましい。
- それは外注できる内容かどうか?さまざまな仕事をアウトソーシングすることが、かつてないほど簡単になっています。家事1つにしても以前は大手企業の家事代行サービスしかありませんでしたが、今は個人間のマッチングプラットフォームもあり、廉価で利用できます。片付けだって、求める内容に応じてたくさんの業種があります。
- 誰か手伝ってくれませんか? 時には、適切な人と5分間会話するだけで、何時間も何日間もイライラせずに済むこともありますよね。手伝ってくれる人を探してみることで、状況はもっと楽になります。
さて、ここまで手順1~3を考えてきましたが、この片付けやタスクを人に任せるのは意味がなく、自分で行うものだと仮定して、以下に進みます。
4.一番いい場所に移動して環境を整える
まずはわかりやすいのでタスクの場合から話をすると、環境は必ず物事を成し遂げる力に影響を与えます。でもどんな影響があるかは人によって異なります。
例えば、試験勉強をする時や仕事をする際に静かな方が集中できる人もいれば、賑やかなカフェでの方が捗る人もいます。また、図書館でヘッドホンをつけてリラックスしながらが合っている人もいます。
つまり人それぞれ、そしてその時々の取り組む内容によって適した場所は違うということなのです。そのため、タスクをする場所を探すときには工夫が必要かもしれないですね。
片付けの場合は、場所が決まっています。寝室の片付けは寝室、キッチンの片付けはキッチン。このように場所が固定されているため、その他の環境を工夫しましょう。
参考までに私の場合は、言語を介する何かをする時には無音の部屋が最適です(今まさに)。でも、経理など好きではない単純作業をする場合には、歌詞がない曲を聞きます。そして家事をする際には歌詞がある音楽をかけて、歌いながら行ったりしています。
以前同じライフオーガナイザー1級資格を持つ仲間でこの話をしたところ、家事はスローテンポで歌詞がない曲がいい人もいたり、1日中ずっと音楽を聴いている人もいました。このように人それぞれ適した環境は異なります。
5.理想的な時間を自分に予約する
何をするか、具体的な内容を明確にスケジュールしていなかったり、自分にとって適していない時間にやってしまったりすると、思う通りに進みません。そして思うように進まないと、次からやりたくない、できない、やらないと悪循環に陥ることがあります。
例えばセミナーでも片づけが苦手な受講者さんとの会話は:
この片づけはいつやるつもりですか?
今週の後半にやります。
今週のいつですか?
土曜日です
土曜日の何時ですか?
受講者さんの中にはこの会話の流れにイライラする人もいるかもしれませんが、ここまで来るとたいていはカレンダーか携帯電話を手に取り、
というように言います。その時点で、私はカレンダーに予定として片づけの時間を書き入れてもらっています。
また、自分が特定のタイプのタスクに最も効果的な時間を見つけることもかなり重要です。
例えば、クリエイティブな仕事と決まったことを繰り返す事務的な仕事では、いつやるのが一番効果的なのか違います。
普段の家事でしたら、夕飯の支度や掃除はいつやると一番精神的抵抗も少なく、早く終えられるのか。
これらを記録し、可能であればそれに従って時間をスケジューリングする方が楽に行えます。
これもまた、人によって適した時間は異なりますが「体内時計」を参考にしていただくといいと思います。
3.考え方の変化を促すたった1つの心がけ
さて、ここまでの話はこれまでこのブログでもたびたび紹介してきたノウハウと共通のものが多くあります。きっとすでに似たようなことを知っていたり、試してきた方もいらっしゃるでしょう。
ではなぜどのようにすればいいかを知っていても、うまくできたりできなかったりするのかということについて理由を考えてみます。
理由1:頭の中の忙しさ
片付けが苦手な方は様々な原因がありますが、その理由の1つに頭の中が常に忙しいということがあります。
私もクライアントのご自宅に伺う前に写真を拝見しますが、必ずやりっぱなしになっている物がどれくらいあるか、それは何かを確認しています。
片付けが苦手、使ったものを元に戻せない人の多くは常に頭の中で何かを考えていて、目の前のことに集中していません。
最近では日本でも「マインドフルネス」という言葉を聞くことが増えましたが、詳細は割愛します。ここで覚えていただきたいことは、ほんの少しでもいいからスピードを落として、その瞬間に起こっていることや何をしているかに気づくことです。気づこうとする意識を持つことです。
重要なのは、気が散るのを止めることではなく、気が散ったことに気づくことです。そのためには、手遅れになる前に、やろうと思ったことをやっていない事実に気づき、本来の目的に意識を集中し直すことを、意識的に決める必要があります。
理由2:認知の歪み
2つめの理由としては「認知の歪み」があります。 認知の歪みは簡単にいうと「自分のためにならない間違った思考スタイル、癖」のことです。
新しい習慣を身につけたり、新しい仕組みを取り入れようとしている時にうまくいかなくなりやすいのは「白黒志向(オール・オア・ナッシング/0か100か)」思考がある方です。
せっかくうまくいっているのに、何らかの理由で1日休んでしまう。そうするとその段階で「続かなかったから、もうやめよう」とそれでやめてしまうか、新しいことに移ろうとしたりします。
片付けも完璧にできないから、やめてしまうのはこの思考スタイルだからです。
もちろんうまくいかない日は誰にでもあります。新しい仕組みが習慣となる前の最初の段階では、特にうまくいかないことが多いでしょう。でも、うまく続けるには失敗を一時的なものとして受け入れ、翌日から再スタートすることを決意するしかないんですよね。
まとめ: 変化は日々の一貫した努力から生まれる
この記事では、片づけが苦手な人が持たれがちな偏見や誤解から、一般的な考え方や論理がすべての人に当てはまらなく、本人が実際の行動につなげるためには他のアプローチが必要であることを紹介しました。
克服のための方法として、
- 最初の一歩を明確にする: 大きなタスクを小さなステップに分割し、行動を起こしやすくします。
- タスクを目的に結びつける: タスクを自分の価値観や目標に関連付け、モチベーションを高めます。
- 人に任せるか、シェアするかを考える: 自分に合ったアプローチを選択し、専門家や他の人の支援を活用します。
- 適切な場所で行動する: 環境が行動に影響を与えることを認識し、最適な場所を見つけます。
- 理想的な時間を確保する: スケジュールを立て、タスクに集中するための時間を確保します。
そして頭の中が常に忙しいことや、認知の歪みがあることなどが片づけの妨げとなる可能性があるため、今の瞬間目の前にあることに意識を向ける心がけこそが克服の最大のポイントです。
うまくいったかどうかはあなたが日々どのくらい意識して変化、進歩したかです。
誰でも変わろうとしてすぐに変われるわけではなく、自分にとって本当に大切なことに向かって毎日一貫して取り組む中で、変化はゆっくりと起こるものです。
ぜひ「自分に最適なやり方」をキーワードに、目の前に意識を向けて取り組んでみてください。