いつも片付けのメリットや片付けの考え方や方法をご紹介しているので、この記事では少し方向性を変えて片付けずに散らかった部屋で暮らすメリットについて考えていこうと思います。
検索しても、部屋を片付けないとか散らかっている部屋のメリットってほとんどヒットしないのですよ。
この段階で片付け好きの方は、ページを閉じようとしているかもしれませんが、ちょっと待って。
ぜひぜひざっと最後まで目を通してみてください。
きっと新しく気付けることがあるはずです。
1.散らかっていて足の踏み場がない部屋で生きるメリット
片付けた方がいいに決まっていると言われるこの世の中で、あなたはどれくらい散らかった部屋で片付けずに生きるメリットが思いつきますか。
1)生活の効率が良い
- 布団を敷きっぱなしなので、寝たいときにすぐ寝られる。
- 「定位置に戻す」手間が省けるため、思考を止めずに作業を続けられる。
- 物が床にあるため、寝たままでも必要なものがすぐ手に取れる。
- 地層になっているため、いつ着た服かがすぐわかるので、気にしなければそのまま着られる。
- いつも視界に物があるため、自然と物の定位置を覚えられる。
- 物の山と地層なので、「いつ頃か」を思い出せれば大抵の探し物は見つかる。
2)お金がかからない
- 物は床に置いてあるから収納家具や整理整頓グッズを買う必要がない。
- インテリアに凝らなくてもいいので、家具や雑貨の購入費が浮く。
- 家具を置くスペースを増やす必要がなく、狭い部屋でも暮らせる。
- 物に保温効果があるので、暖房なしでも意外と寒くない。
3)気力・体力・時間の節約
- 片付けやベッドメイキングの時間を省ける。
- 物を捨てなくちゃいけないと思うストレスが減る。
- 生活スタイルが変わっても、収納方法を見直す必要がない。
- 掃除機をかける必要がない(かけられないともいう)。
- 移動せずに必要なものを取れるため、無駄な動きを減らせる。
4)クリエイティブな発想が生まれる
- カオスが脳を刺激して、思いがけないアイデアが湧く。
- 部屋全体を使って創造的に生活できる。
- 様々な物が目に入るので、モノの直感的なつながりを発見しやすい。
- 定位置がすべて決まった「固定枠組みでの発想」にとらわれず、自由に物事を捉えられる。
- 思いがけないところから思いがけない物が出てきて、ワクワクする。
- いちいち片付けないので、発想が途切れない
- 右脳優位で自由に動ける
5)安全・防犯面のメリット
- 収納家具がないので、地震の際に倒れてくる物がない。
- 部屋が散らかっていることで、泥棒が入っても貴重品を見つけにくい。
6)自分のペースで生きられる
- 片付けのルールに縛られず、自分のやりやすい方法で暮らせる。
- 「とりあえずここに置いておこう」と気軽に過ごせる。
- 物の配置が無意識にパターン化され、本人にとっては秩序がある。
- 「片付けなきゃ」というプレッシャーがない。
- 美しい暮らしのインスタなどを見ないので、他者比較がなく劣等感もない。
- 片付けが苦手でも、それを克服するための情報収集に時間をかけなくて済む。
7)収納スペースに悩まなくて済む
- 「収納が足りない」と感じることがない(そもそも収納しないから)。
- 片付けを意識しなくても、部屋全体が収納スペースとして機能する。
8)必要最低限のもので生活できる
- 散らかっているからこそ、余計な大物を増やさなくなる(買っても入らない)。
- 片付けないことで劣化していくため、手放すタイミングが明確。
9)片付けをする際の達成感が大きい
- 「片づける」という行為そのものが、現実逃避として楽しめる。
- いざ必要に応じて片付けると劇的な変化を感じられ、普通に整頓している人の100倍達成感を味わえる。
ここまでは比較的健全な感じのメリットを挙げてきましたが、もしかすると逆に精神的に抱えている物が多いから散らかっていた方がいいのかもしれません。
10)心理的に得られるものがある
- 物に囲まれていると寂しさがまぎれるし、安心する
- 片付けを強制してきた親への反抗として、散らかしていた方がいい
- 「いつも散らかしっぱなし」と言って面倒を見てくれる親との関係をそのまま保ちたい
- 他人と距離を置きたいから、家に絶対に招けない物理的状況があることで安心する
*「ここで書いたメリットの1000倍のデメリットが思いつくけど?」っていう突っ込みは今は待って(笑)
2.散らかった部屋で片付けずに生きるメリットをまとめた意図
1)「片づけるべき」の境界線を探る
片付けやミニマルライフの良さがもてはやされる昨今、部屋を綺麗に保つメリットばかりがクローズアップされています。
もちろん、整頓された空間にはたくさんの良い点がありますし、きちんと片付けられた部屋が好きな方も多いでしょう。そして私も片付けの仕事をしていますし、私自身が汚部屋よりも今の暮らしやすい仕組みが作れた生活の恩恵を受けています。
しかし、物事は表裏一体。“散らかっている状態”にも実はメリットや楽しみが存在します。もしあなたの周囲に片付けない人がいたら、こういったメリットを感じているかもしれません。
この記事では、あえて散らかった部屋で片付けずに生きるという極端ともいえる状況を題材に、そのメリットを列挙してみました。
これを読んで、
「いやいや、メリットなんかないでしょ! 片付けなきゃダメ!」
「人としてあり得ないだろ」
「確かに少しは一理あるかも?」
「こんな生活もアリといえばアリだけど、自分には向いてないな」
「そう、その通り!メリットだらけだろ?」
など、さまざまな反応や意見を抱かれたのではないでしょうか。
もしこの記事を読んでイライラしたり、「こんなの非常識だ」と強く思ったりしたなら、それは“自分の中の価値観”が揺さぶられたからかもしれません。
アンガーマネジメントでいう「べきの境界線」とは、自分が「こうするのが当たり前」「こうあるべき」と信じているラインのこと。そこを越えられると腹が立ったり、違和感を覚えたりします。
このように、散らかった部屋のメリットを挙げられると「そんなはずはない」「非常識だ」と怒りが湧いてくるのは、あなたが「部屋は片付いているべき」という強い想いを持っている証拠でもあるわけです。
同時に、「意外と面白いかも」と思ったとしたら、それは「必ずしも片付けなくてもいいんじゃないか」という柔軟さを持っているサインかもしれません。
いずれにせよ、この記事をきっかけに“あなた自身の価値観”を普段と違う角度から少し客観的に見つめ直していただければと思い、記事を書きました。
3.散らかった部屋や自分に対する考えを明確にする
では、実際に「散らかっていて足の踏み場がない片づいていない部屋」という生活を想像してみてください。
湿気を含んだせんべい布団の上で寝起きし、床に散乱した洋服やモノが層を成している状態──そんな空間に身を置いたとき、あなたはどう感じるでしょうか。
不快感や嫌悪感を覚える方 「ありえない」「衛生面的に大丈夫なの?」「早く片付けないと病気になりそう」などと、耐えがたい思いが湧いてくるかもしれません。
もしそうなら、それはあなたの中に“清潔さ”や“整然とした状態”を重視する価値観があることを示しています。
「ちょっと大変そうだけど、そこまで否定はしない」という方 「まあ、本人がそれでいいなら……」「やろうと思えば片付けられるし、別に困っていないなら問題ないかも」と感じるとしたら、散らかりに対して比較的寛容であると言えます。
「むしろ楽しそうかも?」という方 「意外と発想が豊かになりそう」「寝る場所だけ確保できれば、あまり問題ないかも」と思ったなら、既成概念に縛られず新しい視点を受け入れる柔軟な性格かもしれません。一方で、あまり片付けや清潔感に神経質ではないとも言えます。そこは自覚が必要です。
このように、“散らかり”に対して「どう思うか」は人それぞれです。「どうありたいか」や「何を大切にして生きるか」が異なるのです。
結局のところ、「足の踏み場がない万年床の6畳部屋」に暮らすかどうかは、その人の価値観・ライフスタイル・健康状態などさまざまな要素によって変わります。
あなたが部屋を片付けたいなら片付ける方がいいですし、特に困っていないのなら、無理に片付ける必要はないかもしれません。
大事なのは、自分の考えや感じ方を「他人の意見」や「世間の常識」と照らし合わせてみたときに、なぜ違和感があるのか、なぜ腹が立つのか、なぜ安心するのか――そんな“自分の内面”に意識を向けることです。そうすることで、あなたが本当に大切にしたいことが見えてくるでしょう。
もし身近に片付けない人がいてストレスが溜まっている時に、自分の価値観を「正義」として、相手を動かそうとしても何も変わりません。片付けない人には片付けない人なりの理由があり、人は相手に否定されていると感じると協力したいとは思いません。
目的を持って暮らしの土台を整え、意識的に本当に必要で好きな物に囲まれて生活しませんか。
最後に、この言葉をあえて加えたのは、「片付けをしなければならない」ではなく、“自分の本当の望み”を見極めてほしいからです。
実は、本人ではなくご家族からのご依頼で訪問して一緒に片付けるケースでは、ほとんどの方がメリットは意識していません。ほぼ全員「別に散らかっていても困っていないから」、「気にならないから」という程度の意識であり、能動的にメリットがあるから片づけないと強い意志を持っていらっしゃる方はまだ会ったことがありません。(もちろんそういう方は作業を依頼しないでしょうから、私が出会えることはないかもしれませんが)
でも、片付けをするかしないかではなくて、本当の望みを聞いていくと普段無意識の不便、不都合が表に出てくることがよくあります。
もし散らかしたままのメリットを享受していても、やはり心のどこかで「もう少し片付いていたら楽なのに」と思うなら、そこにあなたの本心が隠れているかもしれません。反対に、「今が一番快適!」と思うなら、その感覚を大切にするのも一つの選択です。
この記事が、あなたの部屋だけでなく、あなた自身の内面を“少し整理するきっかけ”になれば幸いです。