「片付けで人生が変わる」そんな話を聞いたことがありませんか?
それに対して、あなたはどんな感想をもっていらっしゃいますか。片付けただけで人生が変わるはずがない、と懐疑的な方もいるでしょうし、実際にこの変化を経験されている方もいらっしゃると思います。
実際に、日常生活の土台を作る片付け・整理収納は、単なるお部屋がきれいで気持ちがいい!以上の効果をもたらします。ライフオーガナイザーとして多くの人々の変化を目の当たりにしてきた私が、片付けが人生にもたらすポジティブな影響をご紹介します。
片付けで人生が変わるポイント1:環境の変化から生まれる心の変化
こちらは、ちょっと片付け、整理収納が進むだけでも実感できる変化なので経験されている方も多いはずです。
片付けると生まれる変化①イライラが減る
考えてみてください。部屋が散らかっていると、どこに何があるのかわからず、常に物を探している状態です。例えば、急いでいる朝に限って鍵や財布が見つからない...そんな経験ありませんか? 散らかった部屋は、見た目のストレスだけでなく、日常の小さなフラストレーションを積み重ねていきます。
子供のおもちゃが散乱していて、何度も躓いたり、片づけをしたばかりなのにすぐに散らかってしまう...これらはすべてイライラの原因となります。
まず、家や部屋がすっきりと整理されることで、日常生活がスムーズになります。物が減ることで掃除がしやすくなり、物を探す時間も、元に戻す時間も大幅に削減されます。これは、私たちが日常でよく遭遇するものを探す時の焦り、片付けに追われる焦燥感、散らかった部屋を見るときのうんざり感など、多くのストレスから解放されることを意味します。
部屋を片付いた状態にするだけで、まずは心の平穏が生まれるのです。
片付けが進むと、散らかっていることで生じるストレスが減り、自分の中に溜まっている怒りのタネも減り、自然と家庭内の雰囲気も和やかになります。
片付けると生まれる変化②:時間が増える
物が適切に整理整頓されていると、何がどこにあるのか一目でわかります。これにより、物を探す時間が大幅に削減され、その分、他の活動に使える時間が増えます。効率的な時間の使い方ができるようになり、日々の生活がより充実したものに変わっていきます。
例えば、キッチンで料理をする際、必要な調味料や調理器具がすぐに手に取れ、戻せる場所にあれば、料理の準備時間や片付け時間が短縮されます。同様に、書類や必需品が整然と収納されていれば、効率がよくなり、日々のルーチンがスムーズに進んで無駄な時間が減少します。
また、整理整頓された環境では、計画が早く立てやすくなります。たとえば、クローゼットが整理整頓されていると、どの服をどうコーディネートするかが一目で分かり、その日の服装を素早く決めることができます。また、必要な文書や資料がすぐに見つかるため、タスクの計画や実行がよりスムーズに進行します。これらによって、悩んだり迷ったりする時間も減っていきます。
さらに、部屋全体が整理されることで、家でのリラックスタイムや趣味の時間も増え、生活全体の質が向上します。快適な家で過ごす時間が増えることは、日々の幸福感を高めることにもつながります。
片付けると生まれる変化③:脳への負担が減る
統一されていない物がひしめきあっている場所に行った時や、ありとあらゆるところから別の音楽や声が大音量で聞こえる繁華街に行った時、様々な色、大きさの電気が違うペースで点滅している場所に行った時などにものすごく疲れた経験はありませんか。
私たちの脳は絶えず五感からインプットを受けています。目から見ている景色は、光と自分たちの目に視細胞があれば視神経を通って脳に自動的に送られます。そのため、散らかっていて物が多い部屋にいると、目からは絶えずそのような大量の情報を脳に送っていることになるのです。
部屋が散らかっていると、視覚情報が多すぎて脳がそれを処理し続けなければならないため、注意力が分散されやすくなります。そうすると、集中力の低下やストレスの増加、生産性の低下につながることがあります。
それでも「散らかっていても全然気にならない」という方がいますよね。それについて、考えてみると脳はすべての刺激に対応していると効率が悪いので、不必要な情報は意識に上げないようにするプロセスがあります。これは「選択的注意」と呼ばれます。
つまり、これは脳が大量の感覚情報の中から何に注意を払うかを選択し、それ以外の情報を無視する能力です。
- フィルタリング: 脳は、視覚、聴覚、その他の感覚から来る情報を受け取ると、これらの情報を初期的にフィルタリングします。重要でないと判断された情報は、意識的な処理に進む前に排除されることが多いです。常に散らかっていて、そこでも不快感を感じずに生活できるという場合、散らかりは初期の段階でフィルタリングされており、情報として処理されていない可能性があります。
前頭前野の役割: 選択的注意には特に前頭前野が関与しています。この部分は、目的に合わせて注意をコントロールし、重要な情報に集中し、関係のない情報を抑制する役割を果たします。何か別の行動に意識が向いている場合、散らかっている部屋は関係のない情報なので、注意を向けられていません。
神経可塑性: 繰り返し行われる活動や環境に応じて、脳はその処理効率を高めるために自らを再構築します。これは脳回路内のシナプス結合とよばれる神経細胞同士のつながりの強さが、経験を通じて動的に変化する「可塑性」という性質をもつためです。過去の研究から、脳回路の中で頻繁に使われたシナプス結合はより強くなり、あまり使われなかったシナプス結合はより弱くなるという「ヘッブ型可塑性」によって、特定の細胞グループが同時に活動しやすくなることが分かっています。ここから推測できるのは、長年散らかった環境にいると時間が経つにつれて関連性の低い情報を無視する能力が向上する、つまり散らかっている状態が本当に見えない、気にならない状態になるのではないかということです。
脳は複雑な内部プロセスを通じて、常に情報の洪水の中から有用な情報を選択し、不必要な情報を排除することで効率的に機能しています。ただやはり脳は効率的に動作するように進化していますが、不要な刺激に常に反応していると、疲れやすくなります。逆に、整理整頓された環境は脳のリソースを必要なタスクに集中させるのに役立ちます。ですから、部屋を片付けることは、単に物理的な空間を整えるだけでなく、精神的なクリアさと集中力を高める効果もあると言えます。
片付けで人生が変わるポイント2:整理収納から生まれる自己効力感
整理整頓が成功すると、自分自身に対する信頼感が増します。これは「自己効力感」と呼ばれ、自分の行動が、目標にしている結果を生み出せると信じる心理状態を指します。部屋がきちんと整っていると、自分で環境をコントロールできるという感覚が得られ、これが他の生活の側面にも好影響を与えることが多いです。
片付けると生まれる変化③:自分の基準が明確になる
日常生活で何かを決める際、自分にとって何が大切かを明確にしておくと、迷いが少なく、素早い決断が可能になります。
部屋を片付けるときも同じです。たくさんの収納テクニックがある中で、自分にとって最適な選択をすることがしばしば困難です。また、多くの物を持っている人は、「何を手放すべきか」と考えてしまい、行動を起こせなくなることもあります。
重要なのは、「自分は何をしたいか」という基準です。子供の頃は、好きなものや宝物がはっきりしていましたよね。大人になった今、大切にしたいものや事がすぐに答えられますか?そして、実際に大切にできていますか?
私たちは大人なので、他人の目や評価を気にして自分の本音を抑えることもあるかもしれません。その結果、自分自身の本当の望みや幸せから遠ざかってしまうことがあります。自分の心を無視して人にどう見られるかばかり考え続けていると、だんだんと自分の本音がわからなくなります。
何を大切にしたいか分からなくなってしまい、満たされない気持ちを抱えて、無意識のうちに物を買い過ぎたり、本当に望んでいない自己投資に時間とお金を費やしてしまうことがあります。
子供の頃にはっきりしていた好きなものや宝物と同様に、大人になってからも自分が本当に大切にしたいものを見極め、それを守ることは、自己効力感を高めるために不可欠です。
暮らしに彩りや心の豊かさを取り戻すには、自分の好みや心地よさを優先する勇気が必要です。流行に流されず、他人からの承認を求めることなく、自分自身の好きなものや幸せを感じる瞬間を大切にすることが、真の満足へと繋がると思います。
これまで片付けをされていた方も、その過程を通じて、自分の内面に問いかけ「これは本当に必要か?」「これは私が本当に好きなものか?」と自問自答することで、自分の価値観が明確になっていきました。そして、自分自身の選択に自信を持つことで、他人の目を気にせず自分らしさを表現する力が育まれるのです。
自分の基準が明確になると、日々の選択が自信に満ち、人生を豊かに彩る決断が可能になります。片付けは単なる整理整頓以上の意味を持ち、自己発見と自己確立のプロセスでもあるのです。自分で自分の幸せを決め、それを基準に生活を整えることで、真の自己効力感と自立を手に入れることができる…それが片付けで人生が変わるということなのだと思います。
片付けで人生は変わる。決めれば、動ける。
片付けをして、機嫌良く過ごす
私たちは、学校で勉強は習いますが「よりよく幸せに生きるために、何をどうしたらいいのか」ということは誰も教えてくれません。
もちろん、幸せの基準は人それぞれ違いますし、時代や文化によっても異なることでしょう。それでも、人は皆自分なりに幸せに生きることを願っているので、幸せに関係する「仕組み」を知って、実践することでマイナスがゼロになったり、ゼロがさらにプラスになったりすると思います。
マイナスをゼロにというのは、モヤモヤと晴れない気持ちを抱えていたり、不安と矛盾を抱えて暮らしていたり・・・誰でも大なり小なり抱えているストレスを「仕組み」を使うことで減らしたり、解決したりすることができるのです。
ゼロをプラスにというのは、今でも十分幸せだけれど、もっとラクにさらに楽しく生きるために何をしていこうかを考えるケースを指しています。
その時に大切なのは「決める」ことです。
「できたらいいなー」とぼんやりしているだけでは、話を知っているだけでは、何もかわりません。自分が実際に何かをして変わっていくということを、決めることが大切です。
決めるから、動ける、そしてその行動が完結します。
自分の機嫌は、自分で決められる。機嫌の良し悪しは、自分次第。
機嫌が良い方が人生は間違いなくうまくいきます。ここまで書いてきたように、片付けを通じて、ストレスを減らし、日々を快適に過ごせる環境を作ることができれば、日常生活の多くの側面が改善される可能性があります。
これはただの仮説ではなく、多くの人々が体験してきた実感、そしてこれまでに私がオーガナイズサポートをしてきたクライアント様の変化です。だからこそ、もし片付いていないお部屋で、片付け情報が載っているSNSやコラムばかりを調べているのなら、その時間でプロの力を借りることを恐れずに、一歩を踏み出してみませんか。
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