毎年、片付けでケンカになるよ…。
どこから手を付けていいのかわからないし!
冷蔵庫の奥で、何かが化石化してるとかしょっちゅうある!
この時期とても多いのが実家の片付けに関する質問です。
今日は、どのように実家の片付けを進めたらいいか、考えてみましょう!
実家の片付け。物の量が多い、どこから始めればいいのかわからない、どこに何があるかわからない、怪我をしそうで危ない、どうにか実家を片付けたいけれど喧嘩になる…など様々な悩みは多くの方に共通です。
そんな私も、数年前に祖母の家で大失敗をしています。
ついつい「よかれと思って」片付けやモノの処分に恩着せがましく口を出し、求められていないにも関わらず力を貸そうとしてしまい、滅多に怒らない祖母が機嫌を損ねてしまいました。
この記事ではその反省の気持ちも含め、今年は喧嘩をせずに親子仲良く実家の片付けを進め、少しでもお互いが安心できる暮らしづくりのきっかけにしていただけるよう、どのように実家の片付けを進めたらいいのかをまとめています。
なぜ、実家の片付けは大変か?
1.実家は基本的に物量が多く、さらに物を持ち続けるのが美徳だから。
実家の片付けで悩んでいる方の多くは、30年以上も住んでいるような「長年住んだ持ち家」です。かなり意識して暮らしていない限り、居住期間が長いほど、物の量が多くなるのは当然です。
物量が多いとそれだけ片付けの作業にかかる時間は長くなり、大変です。
さらに、ご高齢の方は物に対するそもそもの価値観が現代の私たち違っているケースが多いです。
戦中戦後を経験している世代は、物を直しながら長く大切に持ち続けながら生きてきました。
まだ使えるものを捨てるのは「悪」であり、罪悪感を覚えます。
(他人からは、何十年も開けていない段ボールの中身を大切にしているとは到底思えないのですが、)持ち続けている本人は「持ち続けるのが、正解=大切にしている」だと思っていることがよくあります。
物を捨てたくない気持ちを全否定するのは避けたいですね。
2.親子で片付けの目的が異なる
「生前整理」にも興味を持ってほしいなぁ…。
子の立場では、親に安全に暮らしてもらいたいという気持ちがまずありますし、それに加えて、メディアで実家の片付けや遺品整理の大変さを見て、早いうちから実家を片付けたいと思います。
しかし、年を重ねると変化を嫌う傾向が強まります。
また、どうにか片付けをしたいとは思っていても、どこから手をつけたらいいのかがわからなかったり、本当は困っているけれど、子供に弱音を吐けない親としてのプライドが邪魔をしている場合もあります。
さらに、今の暮らしに慣れてしまっているため何が危ないのか、何が不便か、暮らしを改善するという視点を持っていないケースもあります。
そういった状態のところに、子供から「片付けなよ!!ものが多すぎるよ!捨てなよ!」と言われても、素直に受け入れてもらえるはずはありません。
まずは、実際に片付けに着手できないとしても、高齢の親が実家で暮らしている中で何か不便は無いのか確認するのが大切です。
普段離れて暮らしている場合は、前回会った時と比較してみます。行動の仕方、喋り方やその内容などからどこか辛いところはないのか、よく観察してみてください。
より楽に暮らしてもらうためのコミニュケーションから始めると、
実際の片付けに辿り着きやすいようです。
3.判断能力の衰え
歳を重ねると、前頭葉の働きが衰えてくると言われています。
そして、脳機能の衰えは、判断能力の低下につながります。
片付けは、頭をフル回転して行うものです。物の識別から、要不要の判断など様々な事を頭で考えるからです。
何が本当に暮らしに必要なのか、私たちと同じレベルで考えるのは難しいのかもしれません。
「まだ使える」、
「いつか使うかもしれない」、
「何かに使える」
これらは、自分にとって、そのモノが本当に必要かを突き詰めて考えていない証拠ですが、そこでこの回答を責めても何も生まれません。
いつか使うかもしれないのいつかは訪れないケースがほとんどですが、その判断がなかなかできないのが特徴です。
年齢を重ねると、論理的な判断よりも感情的になることが多い(最近話題の、「キレる高齢者」の現象です)ので理論で説得しようとしても無駄な場合が多いです。
感情に寄り添う努力がポイントです。
実家の片付けは、どこからはじめる?コツは捨てるをゴールにしない!
急に「まだ使うんだから!」って言って片付けがストップしちゃったよ。
もし実家のご両親が「子供の力を借りて、片付けをしよう」という意志が強くある場合は、従来の片付け方法がおススメです。
やると決めるとどんどん捨てていける場合が多いです。
逆に、大変なのが片付けることにあまり納得していないタイプ。
ここから先は、ものを捨てたくない親の片づけ、親子の片付けで喧嘩になることがある...そういった方向けの方法をご紹介します。
1.まず、実家に自分の荷物がある人はそれから片付ける。
実家暮らしをしていた頃の部屋にそのころの荷物がありませんか?
今暮らしている部屋が手狭だからと実家に送りつけた荷物等はありませんか?
まず実家に自分のものが残っている場合はそれを片付け終えるところからスタートです。
自分の物を片付けずに、人に片付けをさせるのは不可能です。
これをすると、片付いた状態を親に見せられ、すっきり片付いている部屋の気持ちよさを体感してもらえます。
また、物の仕分けをしたり、納戸として使えたりするスペースを確保すると、今後の片付けが楽になります。
2.目的、目標を明確に。ゴールは、親が安心安全に暮らすこと
実家の片付けでよくあるのは、「捨てたい子ども VS 捨てたくない親」と言う構図です。
特に年配の方は、捨てると言う単語を聞くだけで、拒否反応が起きる方もいます。
捨てなくてもいいから普段生活に使っているところだけ片付けをしようと言うアプローチから始めてみてください。
・玄関から、各部屋へつながる廊下は床がすべて出ていますか?
・リビングの床が出ていますか?
・タンスや本棚などの収納から物が溢れていませんか?
・押し入れから物が滑り落ちる恐れがありませんか?
・どこに何があるか、貴重品や書類などの場所が明確になっていますか?
・ものが置いてあるせいで、余計な段差が家にないですか?
・冷蔵庫や、台所に消費期限が切れている食料品はありませんか?
・いつ買ったか分からない化粧品、洗剤などがストックされていませんか?
普段移動するところに、物があるとつまずく、滑るなどの恐れがあります。
また自然災害などの非常事態が起きたときに、逃げられなくなる可能性もあります。
特に、近年は日本中で自然災害が多発しています。「明日は我が身」です。
片付いていない自分のことを指摘されるよりも、他人の話をされた方が、人は素直に客観的に話を聞けます。
こういった具体的な話をしながら、どの部屋をどうやって、どこまで片付けたらいいかと言う話を作業始める前にしてみます。
3.捨てずに、まずはものを分けるところから
「捨てる」が嫌な方や、なかなか片付ける気にならないと言う場合は、まずは分けるだけの片付けをします。
何を分けるかというと、まずは大切なものからどこに何があるのかを明確にします。
●生活必需品
生活必需品は、朝起きてから夜寝るまでに必要なものです。
必要には、ランクがあるとは思います。
例えば、最上位のランクだと、薬、メガネ、財布、携帯電話、鍵、健康保険証などがあります。
その他、下着類、普段着、防寒着なども生活必需品です。
その他、少し必要度が下がりますが、普段使いのキッチンツール、食器、タオル、洗面用具、化粧品などがあります。
このように、必ず毎日生活するのに必要なものを出し入れしやすい場所にわかりやすくまとめるのがポイントです。
●お金、財産
いざという時に必要になるのは、お金です。
突然の入院、知らず知らずのうちに認知症が進むなど、何が起こるかはわかりません。
万が一の時に、生命保険、損害保険、年金関連、有価証券、不動産の権利書、銀行の通帳、などは何をどれだけ持っているか、どこにあるか、どの印鑑と対応するかなどわかるようになっていますか?
せっかく、毎月払い込んできた保険金が、結局わからないまま未請求になっているケースは多々あります。
これも、なかなか直接高齢の親に話を持ちかけるのは難しいと思うので、「私の友達のお父さんが亡くなった時に、あるはずの保険証書が見つからなくて結局大変だったんだって」など、他の人のエピソードを伝え、注意を促す方法が伝えやすいです。
●宝物
片付けとなると、出来る限り物量を減らすことが目的のように捉えられがちです。
しかし、ご高齢の方にとって、過去の記憶や感情を投影している宝物は精神安定剤的な役割もあります。
以前、実家の片付けのオーガナイズ作業現場がありましたが、納戸から出てくる何十年も前の思い出の品を家族で振り返りながら、とても温かい気持ちで物の仕分けができました。
もし時間に余裕がある場合、時には過去の思い出を共有しながら、物の仕分けを行うとその後もお互いスムーズに作業が行えます。
●備え
備えにはいろいろな種類がありますが、例えば急な入院に備えたセット、防災セット、万が一があったときの連絡リストなどがそれにあたります。
特に、災害が頻発するこの頃ですので、防災セットがご高齢の方の力で動かせるものなのか、中身は年齢に合っているのかどうかなど再確認しましょう。
共有しておくことも大切です。
実家の片付け・大切なものを確保した後は、さらに分ける!
これらを分け終わったら、客観的に見て危険がありそうな場所から片付けを始めましょう。
例えば、廊下や階段に置いてある荷物、今にも落ちてきそうな本棚の上に積まれた箱…。このようなものを片付けます。
なぜ、そこに置きっぱなしになるのか?その原因を考えます。
① 納戸や押し入れまで行くのがおっくう
② 収納場所が高い、引き戸が重い、使いにくいなど
③ 納戸や押し入れなどの本来の収納場所が、他の物で埋め尽くされていて使えない
こういった理由から、物が出しっぱなし、片付けられない状態になります。
①や②の場合は、代替方法を一緒に考え、アクセスしやすい収納に徐々に変えていきましょう。
③の場合は、収納箇所の整理からスタートします。
とにかく「日常で頻繁に使うもの」と、
そうでないものを分けて収納するのがポイント!
ご両親が手放したり、捨てたりすることが嫌であったり、なかなか物の選別の判断ができない年齢の場合は、ホームセンターで80や100サイズの段ボールを揃えて購入し、押し入れの中身を再分類してから、中身をきちんとラベリングをして収納し直します。
もしご両親の家の部屋が余っているのであれば、1室を収納に使うなどして必ず段ボールが日々の生活を圧迫しないようにします。段ボールを積んだ場合、崩れてきたら大変です。
根本的な解決になっていないような気になるかもしれませんが、
ゴールは「親が安心・安全に暮らすこと」です。
どこに何があるか、は必ずわかるようにしておくことと、
段ボールが日常生活を圧迫しないようにしてください
「終活」「生前整理」のイメージでどんどん物を手放していく片付けを進められるようになるのは、親の気持ちが固まった時からです。
まずは日常で使うものが、どこに何があり、使いやすい状態になっていて、それ以外のものが安全な状態で収納されていれば、まずは第1段階の実家の片付けはOKです。
ぜひそんな風に気持ちにも余裕をもって、お盆帰省に伴う「実家の片付け」問題を乗り越えてください!
実家の片付けは、多くの方の悩みです。やはり、私も家族に対しては主観的になってしまい難しいと感じています。
仕事として客観的な立場でお客様の実家の片付け作業を手伝うと、必ず思い出のものが出てきて、親御さんは育ててきた証を、お子さんは大切にされてきたことを再確認するケースが多いです。
その場にいると、きちんと記憶や判断能力がしっかりしているうちに(体が若いころのように動かなくとも、それは他の人がサポートして片付ければいい)、片付けを進めると、人生の棚卸、振り返りを家族で共有できるのだと、常々感じます。
拙いまとめになりましたが、何か少しでも実家の片付けが円満に円滑に進むヒントになることを願います。
自分の持ち物ややり方を否定されるとイヤで反発したくなるのは、私たちも、物を抱えている本人も同じです。
捨てるから始めない片付けをご検討の方は、お気軽にお問合せください。